電気代の請求書を見て、思わず二度見してしまう。
そんな月って、ありますよね。
先月と同じように暮らしていたつもりなのに、金額だけが上がっている。
いったい家の中の何が、そんなに電気を使っているのか。
真っ先に思い浮かぶのが、冷蔵庫ではないでしょうか。
なにしろ24時間、365日動きっぱなし。いちばん怪しく見えます。
ところが「冷蔵庫の電気代は月いくら」と調べても、出てくるのは平均額ばかり。
その数字を眺めても、うちの冷蔵庫が当てはまるのかどうかは分かりません。
知りたいのは平均ではなく、うちの1台なら月いくらが目安になるかのほうです。
そしてその目安は、年間消費電力量という数字をひとつ調べるだけで出せます。しかも同じ数字から、節電でどこまで下がるのか、買い替えると得なのかまで見えてくる。
というわけで本日は、うちの冷蔵庫の月額目安を自分で出す手順と、出た数字の使い方をまとめます。
冷蔵庫の電気代の目安は月いくら?

先に答えます。
目安としては、容量帯によっておおよそ月700〜880円くらいです。
経済産業省・資源エネルギー庁が運営する「省エネ型製品情報サイト」の登録データをもとにすると、現行モデルの年間消費電力量は容量帯によって約270〜340kWhの幅があり、電力量料金の単価を31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価、資源エネルギー庁の省エネポータルサイトも同単価で試算)とすると、年間8,400〜10,500円前後、月あたりにするとおよそ700〜880円になります。
ただ、この金額を見て「うちもこれくらいかな」と安心するのは、少し早いんです。
同じ「冷蔵庫の電気代」を調べても、サイトによって倍近く違う数字が出てくることがあります。
どれかが間違っているわけではなく、計算の前提が違うだけ。
家庭の電気のうち、冷蔵庫はどのくらい?
家庭で使う電気のなかで、冷蔵庫が占める割合は決して小さくありません。
資源エネルギー庁の調査(平成30年度電力需給対策広報調査事業)では、家庭の電気使用量のうち冷蔵庫が占める割合は約19%とされています。
エアコンや照明と並ぶ、いわば電気の主役のひとつ。
だからこそ「電気代が上がった」と感じたときに真っ先に疑われるわけですが、この直感には落とし穴があります。
容量帯ごとのざっくりした目安
冷蔵庫の電気代は、容量によっても変わります。
| 容量帯 | 年間消費電力量の目安 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 〜200L程度(一人暮らし向け) | 約270〜310kWh | 約700〜800円 |
| 300〜400L程度(二人暮らし向け) | 約300〜340kWh | 約770〜880円 |
| 450L以上(ファミリー向け) | 約270〜300kWh | 約700〜780円 |
※経済産業省・資源エネルギー庁「省エネ型製品情報サイト」の登録データをもとに、電力量料金単価31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)で試算した目安です。
ここで意外に思われるかもしれませんが、容量が小さいほど電気代も安い、とは限りません。
小さいのに、大きいものより電気を食う。そんな冷蔵庫も実際にあります。
この目安が当てはまらない家もある
ここまでが、一般的な目安の話。
ただ、次のような家では目安から大きく外れます。
- 冷蔵庫の年式が古い(10年、15年と使い続けている)
- 冷蔵庫のまわりに放熱スペースがない
- 夏場にキッチンが極端に暑くなる
目安は、あくまで出発点。
うちの冷蔵庫がその範囲に入っているのかどうかは、目安を眺めているだけでは分かりません。
「平均」がうちの答えにならない理由

平均額を見ても、うちの冷蔵庫の答えにはなりません。
同じ「冷蔵庫」でも、条件が違えば電気代は大きく変わるからです。
年式、容量、そして置かれている環境。この3つで、平均値からいくらでも離れていきます。
ただ、その3つに入る前に、ひとつ確かめておきたいことがあります。
請求額が上がった理由は1つに絞れない
冷蔵庫を疑う根拠は、たいてい「24時間動いているから」です。
ただし、冷蔵庫の消費電力は一定ではなく、外気温、扉の開閉、設定温度、設置環境で変わります。
請求額が先月より上がった理由は、「常時動いている」という一点だけでは特定できません。
だからこそ、まずは年間消費電力量から月額の目安を出しておくことに意味があります。
月額の目安が分かれば、冷蔵庫だけを決めつけず、季節家電やお湯の使用量など、ほかの変動要因と一緒に確認できます。
理由① 年式
同じ容量でも、製造年が違えば消費電力量は変わります。
省エネ性能は年々見直されてきました。
10年前の機種と最近の機種を並べると、同じ大きさでも数字がまるで違う、ということが起こります。
資源エネルギー庁によると、今どきの冷蔵庫は10年前と比べて約15〜24%省エネです(2026年9月時点の同庁公表値)。この幅は容量帯や比較する年によっても変わるため、具体的な金額差は次のStepで「うちの年間消費電力量」を実際に調べたほうが確実です。
平均額は、新しい機種も古い機種もまとめた数字。
古い1台を使っている家にとっては、あまり参考になりません。
理由② 容量と電気代は比例しない
ここが、いちばん直感に反するところ。
冷蔵庫は、小さいほうが電気代も安い、とは限りません。
小型の機種のほうが、大型の機種より年間消費電力量が大きい。そんな逆転が実際に起こります。
理由はシンプルで、省エネ技術が投入されやすいのは大型の上位機種だから。
小型機は価格を抑えたモデルが多く、断熱材や冷却制御にコストをかけにくい事情があります。
実際に、経済産業省・資源エネルギー庁が運営する「省エネ型製品情報サイト」の登録データ(2026年9月確認)では、三菱電機の139Lモデル(MR-P14N-W)の年間消費電力量が288kWhなのに対し、パナソニックの515Lモデル(NR-F52ER4-K)は272kWhと、小型のほうが年間消費電力量が多いケースが実在します。
これは、一人暮らし用の小さな冷蔵庫を二人で使い続けている家にとっては、見逃せない話です。
容量が足りないぶん、詰め込みがちになる。設定も「強」にしがち。
そのうえ本体の省エネ性能も高くないとなると、電気代の面で二重に損をしていることになります。
ただし、ここで「じゃあ大きいものを買えばいい」と急がないでください。
この節でお伝えしたいのは、容量と電気代は単純に比例しないという事実まで。
うちの1台の月額目安は、次の手順で確かめられます。
理由③ 設置環境と使い方
最後は、置き方と使い方。
冷蔵庫は、庫内を冷やすために背面や側面から熱を逃がしています。
その熱の逃げ道がふさがれていると、余計に電力を使うことになります。
- 壁や家具とのすき間が足りない
- 直射日光が当たる、コンロの隣など周囲の温度が高い
- 詰め込みすぎで冷気が回らない
同じ機種でも、置かれた場所と使われ方で結果は変わる。
平均額がうちに当てはまらないのは、こうした条件がすべて「平均的な家」を前提にしているからです。
【本題】うちの冷蔵庫の月額目安を出す3ステップ

うちの1台の月額目安は、3つのステップで出せます。
型番を見つけて、年間消費電力量を調べて、電気料金の単価をかける。
それだけです。
難しいのは計算ではなく、最初の2つで詰まりやすいこと。
多くの記事が「取扱説明書やカタログでご確認ください」で終わってしまうのも、たぶんここが面倒だからです。
なので、詰まりやすいところを先に潰していきます。
Step1 型番を見つける
冷蔵庫の型番は、本体に貼られた銘板(シール)に書かれています。
貼られている場所は機種によって違いますが、よくあるのは次のあたり。
- 扉を開けた庫内の側面
- 野菜室や冷凍室を引き出した奥の壁
- 本体の背面や側面の下のほう
パナソニック・日立・東芝など主要メーカーのサポートページによると、多くの機種で冷蔵室の扉を開けた内側に銘板(品質表示板)が貼られています。機種によっては野菜室や冷凍室の内壁、本体の背面や側面下部にあることもあるため、扉の内側で見当たらない場合は他の場所も確認してください。
ここで、多くの人が引っかかります。
銘板は、たいてい暗くて読めないところに貼ってあるから。
庫内の側面なら、冷蔵庫の中身が邪魔をする。背面なら、そもそも冷蔵庫を動かさないと見えません。
でも、中身の詰まった冷蔵庫を引っぱり出すのは現実的ではないですよね。
無理なく見える場所なら、スマホのカメラも使えます。
手や端末を無理にすき間へ入れず、安全に届く範囲からフラッシュを使って撮影します。
重い冷蔵庫を一人で動かしたり、見えない場所へ端末を押し込んだりしないでください。
引き出しの取り外しが必要な場合は取扱説明書に従い、確認しにくければメーカー窓口へ型番の場所を問い合わせるほうが安全です。
型番は「NR-」「GR-」「SJ-」のように、アルファベットと数字が並んだ文字列。
末尾の記号(色を表す記号など)まで含めて、見えたぶんは全部メモしておくと後が楽です。
Step2 年間消費電力量(kWh)を調べる
型番が分かったら、次は年間消費電力量です。
この数字は「1年間ずっと使ったら、電気をどれだけ使うか」を表したもの。単位は kWh(キロワットアワー)。
探す場所は、優先順に3つあります。
1. 取扱説明書
手元にあれば、これが一番早いです。仕様のページに載っています。
2. メーカーの製品ページ
説明書が見つからなくても、型番で検索すればメーカーのサイトに製品ページが残っていることがほとんど。仕様表のなかに年間消費電力量が載っています(2026年9月時点で、主要メーカーの製品ページから型番検索できることを確認済みです)。
3. 省エネ性能を調べられる公的なサイト
メーカーのページから製品が消えている古い機種でも、省エネ性能をまとめた公的なデータベースで見つかることがあります。
経済産業省・資源エネルギー庁が運営する「省エネ型製品情報サイト」(https://seihinjyoho.go.jp/)です。
トップページの「製品検索・ラベル作成」から「電気冷蔵庫」を選び、メーカー名や容量帯で絞り込んで型番を探せます。
年間消費電力量(kWh/年)と年間目安電気代(円/年)が製品ごとに一覧表示されるので、型番さえ分かればカタログや取扱説明書が手元になくても数値にたどり着けます(2026年9月、実際に検索できることを確認済み)。
それでも見つからないときは、同じ容量帯の目安から当たりをつけるという手もあります。
正確さは落ちますが、「だいたいいくらか」を知るには十分。最初にお見せした容量帯ごとの目安を、そのまま次のステップに使ってください。
Step3 電気料金の単価をかける
年間消費電力量が分かれば、あとはかけ算です。
電気代の出し方
年間消費電力量(kWh)× 電気料金の単価(円/kWh)= 年間電気代の目安
年間電気代の目安 ÷ 12 = 月額の目安
単価の調べ方は2通り。
手軽なのは、一般的な目安の単価を使う方法。
目安としてよく使われるのが、全国家庭電気製品公正取引協議会が示す「電力量料金目安単価」です。
資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでも、この単価(令和4年7月時点で31円/kWh)を使って節約効果を試算しています。
ただし単価は改定されるため、この数字はあくまで目安に留め、家庭の請求額に近い条件で概算したい場合は次の検針票の方法も確認してください。
請求ベースの条件に近づけるなら、自分の検針票も使えます。
毎月届く「電気ご使用量のお知らせ」には、その月の使用量(kWh)と請求額が書かれています。
請求額を使用量で割ると、基本料金や再エネ賦課金などを含む請求ベースの平均単価が出ます。
冷蔵庫の電力量料金をより細かく見積もるなら、契約プランの電力量料金に加え、燃料費調整額や再エネ賦課金も確認してください。
契約プランによって単価は違います。ただし、この方法で出るのも冷蔵庫単体の実測値ではなく、家庭全体の請求をもとにした概算単価です。
計算例
実際に当てはめると、こうなります。
たとえば、年間消費電力量が300kWhの冷蔵庫を、単価31円/kWhで計算してみます。
300kWh × 31円 = 年間9,300円
9,300円 ÷ 12 = 月775円
※これは計算の流れを示すための設定例で、特定の実機種の数値ではありません。うちの1台の数字は、Step1・Step2で調べた実際の年間消費電力量に置き換えて計算してください。
出てきた数字が、カタログ値から求めたうちの冷蔵庫の月額目安です。実際の消費量は、設置環境、使い方、季節、経年状態によって変わります。
思ったより高かったでしょうか。それとも、拍子抜けするくらい安かったでしょうか。
出した数字で分かる3つのこと

計算して出た数字は、ただの「今月いくら」ではありません。
同じ数字から、3つの判断ができます。
① カタログ値から見た月額目安
まずは、目安と比べてみてください。
うちの冷蔵庫が、一般的な範囲に収まっているのか。それとも外れているのか。
ここで大事なことをひとつ。
目安の範囲内なら、電気代だけを理由に急いで買い替える必要はありません。
ただし、カタログ値から求めた目安は正常動作を保証する数字ではありません。
冷えが弱い、異音がする、本体が異常に熱い、食品が傷みやすいといった変化があれば、取扱説明書やメーカー窓口で確認してください。
そうした異常の兆候がなければ、季節家電やお湯の使用量など、ほかの変動要因も確認してみましょう。
もちろん「範囲内だけど、もう少し下げたい」という方は先へ進んでください。
ただ、下がる幅は大きくないということだけ、先にお伝えしておきます。
② 節電で動く幅
目安より高かった場合。
まず知っておきたいのは、節電では電気代はゼロにならないということです。
冷蔵庫は、中身を冷やし続けるために動いています。
使い方を工夫して減らせるのは、その全体のうちの一部だけ。
「節電すれば半額になる」ようなイメージを持っていると、やってみたときに拍子抜けします。
動かせる幅を知ったうえで、効果の大きいものから手をつけるのが現実的です。
③ 買い替えで動く幅
もうひとつの選択肢が、買い替えです。
ここが冷蔵庫の面白いところで、新しい機種の年間消費電力量は、買う前にカタログで分かります。
つまり「買ったらいくらになるか」を、買う前に計算できる。
いまの1台の数字と並べれば、年間でどれだけ差が出るのかがそのまま見えます。
あとは、その差額と本体価格を比べるだけ。
節電で届くのか、買い替えないと届かないのか。
判断の材料は、もう手元にあります。
目安より高いときに疑う5つの原因

出した数字が目安より高かったとき、原因はだいたい次の5つに絞られます。
順番に確かめてみてください。
原因が分かると、次に何をすればいいかも決まります。
① 年式が古い
いちばん多いのがこれです。
省エネ性能は年々改良されてきたので、古い機種ほど同じ働きに多くの電気を使います。
そして残念ながら、これは使い方では変えられません。
詰め方を工夫しても、設定温度を上げても、本体の性能そのものは変わらないからです。
年式が原因だった場合の選択肢は、買い替えの損得を計算してみること。
それ以外の4つに当てはまるなら、まだ手の打ちようがあります。
② 冷蔵室の詰め込みすぎ/冷凍室がすかすか
冷蔵室と冷凍室では、正解が逆です。
- 冷蔵室は、すき間をあけて入れる
- 冷凍室は、吹出口などをふさがない範囲で適度に入れる
なぜ逆になるのか。
冷蔵室は、冷たい空気を庫内に循環させて冷やしています。
詰め込むと空気の通り道がふさがれて、奥まで冷気が届かなくなる。すると「まだ冷えていない」と判断して、余計に運転します。
冷凍室は仕組みが違います。
凍った食品そのものが保冷剤の役割を果たすので、ある程度食品が入っていると温度が安定しやすくなります。ただし、吹出口・吸込口・センサーをふさぐ詰め込み方は避け、取扱説明書の収納上限に従ってください。
つまり冷蔵室は「空気の通り道」、冷凍室は「冷たいものの量」。
見ているポイントが最初から別なんです。
冷凍室を詰めて使いたいけれど、ぐちゃぐちゃで奥が取り出せない。そんなときは立てて収納できるスタンドが役に立ちます。使い方は「冷凍室の収納スタンドおすすめ」でまとめています。
③ 設置スペースの放熱不足
冷蔵庫は、庫内から吸い上げた熱を本体の外へ逃がしています。
その熱の逃げ場がないと、冷やす効率が落ちて電力を余計に使います。
必要なすき間は機種によって違うので、取扱説明書の指定に従うのが確実です。
「上に◯cm、横に◯cm」という指定が、たいてい設置のページに書かれています。
必要な間隔は機種によって数cmから十数cmまで幅があり、一律の数値はありません。取扱説明書の設置スペースのページに「上◯cm、両側◯cm、背面◯cm」といった形で必ず指定があるので、まずはそこを確認してください。
指定を確認しづらい場合でも、次のような置き方は避けたほうが無難です。
- 両側を壁や家具でぴったり挟んでいる
- 上に物を積み上げている
- コンロのすぐ横や、直射日光が当たる場所
④ ドアパッキンの劣化
扉のまわりについている、ゴムのパッキン。
ここが劣化して閉まりが甘くなると、冷気が少しずつ漏れ続けます。
見た目では分かりにくいので、紙を1枚はさんで扉を閉めてみてください。
すっと抜けてしまうなら、その部分の密着が弱っています。
パッキンが劣化して冷気が漏れると、庫内の温度を保つために余計に運転することになり、電気代が増える方向に働きます。交換の目安や費用については寿命記事の領域になるため、ここでは電気代への影響だけに触れておきます。
⑤ 設定温度が「強」のまま
買ったときのまま、あるいは去年の夏のまま「強」になっていませんか。
夏場に「強」にしたのを、そのまま忘れている家は多いです。
冬は外気温が低いぶん、庫内を冷やすのに必要な力も小さくて済みます。
季節の変わり目に設定を見直すだけで、少し変わります。
ただし、食品が傷まない範囲で。
下げすぎて冷えが足りなくなっては本末転倒です。
どれにも当てはまらず、急に上がったとき
5つのどれにも心当たりがなく、それでも急に上がった。
そんなときは、冷蔵庫そのものの不調を疑う場面かもしれません。
冷えが弱い、音が変わった、本体が熱い。
こうしたサインが重なっているなら、「冷蔵庫の壊れかけのサイン」で当てはまるものがないか確認してみてください。
【続けやすさで分ける】節電でどこまで下がるか

節電のコツを並べた記事はたくさんあります。
でも、たいてい横並びです。「詰め込みすぎない」「開閉を減らす」「設定温度を見直す」「壁から離す」。
どれが大きくて、どれが誤差なのかは書かれていません。
全部やれる人は、そういないですよね。
なので、ここでは続けやすさと確認の要否で3段に分けます。節約額そのものの順位とは、並びが変わります。
資源エネルギー庁の試算(省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」、2026年9月確認)によると、代表的な節電行動の年間の節約額は次のとおりです。
金額だけで見ると、設定温度を「強」から「中」にする試算が最も大きくなっています。
節約額を優先したい場合は、上の金額を比べたうえで、取扱説明書に沿って無理なくできるものを選んでください。
一度整えれば続けやすいもの
一度整えれば、その後に毎日意識し続けなくてよいものです。
この4つには共通点があります。
一度やれば、その後は続くこと。
毎日意識しなくていいので、続けるための手間がかかりません。
この4つのうち、冷蔵室のすき間には続きがあります。
詰め込みすぎないようにすると、電気代とは別の支出も下がるんです。
奥のものが見えない冷蔵庫では、買ったことを忘れて、気づいたときには傷んでいる。
そんな経験がある方、少なくないはずです。
中身が見えるようにするという同じ一手が、電気代と食費の両方に効いてきます。
農林水産省は、冷蔵庫に食品を詰め込みすぎると庫内の空気の流れが悪くなり、温度にムラができると説明しています。
消費者庁も、庫内を見やすく整理して期限や在庫を把握しやすくすることが食品ロスの削減につながるとしています。
節電額と食品ロス削減額のどちらが大きいかを比べた公的なデータは見当たらないため、ここでは金額の大小には触れず、同じ一手が両方に効くという点だけお伝えします。
何を入れておくと傷みやすいのかは、「冷蔵庫に入れてはいけない食材」でまとめています。
今日から取り組めるもの
次の2つは、今日すぐ、ゼロ円で始められるものです。
- 設定温度を季節に合わせる — 冬は「中」や「弱」でも足りることがあります
- 扉を開けている時間を短くする — 開ける前に取るものを決めておく
設定温度は、まず取扱説明書の推奨設定を優先してください。設定を下げたあとに食品が十分に冷えないと感じたら、すぐに元の設定へ戻しましょう。
上の段に挙げたもののうち、放熱スペースの確保は家具の移動が要ります。
買い替えはもっと大きな決断。それに比べれば、設定温度を見直すのは今すぐできます。
節約額は機種や使い方で変わるため、上の試算は目安として使ってください。
効果と安全性を機種ごとに確認したいもの
最後は、やる前に一度立ち止まってほしいものです。
- 冷蔵庫の扉につけるカーテン
- 冷蔵庫の上に物を置く
冷蔵庫カーテンは、冷気を逃がさないという触れ込みで売られています。
ただ、パナソニックや日立など複数のメーカーは公式サポートページで、カーテンをつけると庫内の冷気循環が偏り、ドアポケット付近まで冷気が届きにくくなるとして、取り付けを推奨していません。効果を裏づける公的なデータも見当たらないため、本記事では積極的にはおすすめしません。
上に物を置くのも同じ。機種によっては放熱の妨げになります。上部に物を置いてよいか、必要な放熱スペースがどれくらいかは、必ず取扱説明書で確認してください。
効果があるかもしれないけれど、条件次第で逆に働くこともある。
この段のものは、上の2段をやり切ってからでも遅くありません。
節電で届かないとき — 買い替えが得かを数字で判断する

年式が原因だった場合、使い方の工夫では届きません。
そこで出てくるのが買い替えですが、「古いから買い替えましょう」では判断になりません。
本体にかかるお金と、下がる電気代。この2つを並べて初めて、得かどうかが決まります。
回収年数の出し方
やることは、引き算とわり算だけです。
回収年数の出し方
① いまの1台の年間電気代 − 買い替え候補の年間電気代 = 1年で浮く金額
② 本体価格 ÷ 1年で浮く金額 = 回収年数
いまの1台の年間電気代は、すでに計算しました。
買い替え候補のほうは、カタログや製品ページに年間消費電力量が載っているので、同じ単価をかければ出せます。
出てきた回収年数が、判断の材料です。
たとえば、いまの1台の年間電気代が9,000円、買い替え候補の年間電気代が7,000円だとします。差額は年間2,000円。本体価格が6万円なら、6万円 ÷ 2,000円 = 30年です。
※これは考え方を示すための仮の数字です。単価・容量・年式・本体価格が変われば回収年数は大きく変わるため、実際はStep1〜3で調べたご自宅の数字と、購入候補の年間消費電力量を使って計算してください。
ただし、この数字だけを見て決めないでください。
回収年数だけで決めない
回収年数は、電気代だけで見た損得です。
実際にはもうひとつ、寿命と故障のリスクがあります。
回収の途中で壊れてしまえば、修理代も買い替え費用も別にかかる。
逆に言えば、回収年数が長めでも、そろそろ寿命という1台なら買い替える理由になります。
どのくらい使ったら寿命と考えるのか、修理と買い替えのどちらを選ぶか。
この判断は「冷蔵庫の寿命は何年?」でまとめています。
そして、これだけは書いておきます。
節電で足りる人は、買い替えなくていいです。
計算して回収に何十年もかかるようなら、いまの1台を大事に使うほうが合理的。
電気代を理由に急いで買い替える必要は、まったくありません。
買うと決めたら次に見るもの
損得を計算したうえで買い替えると決めたなら、次は選び方です。
冷蔵庫選びは、世帯人数と重視するポイントで入口が変わります。
- 一人暮らし — 一人暮らし向けの冷蔵庫の選び方
- メーカーの違いで比べたい — 冷蔵庫のメーカー比較
- 安く買える時期を狙いたい — 冷蔵庫が安い時期
ここで思い出してほしいのが、容量と電気代は比例しないという話。
いま使っているものより少し大きいサイズに上げても、年間消費電力量はむしろ下がる。そんな選び方もできます。
冷蔵庫の電気代のよくある質問

小型・ミニ冷蔵庫の電気代は?
1ドアのミニ冷蔵庫は、本体が小さいぶん年間消費電力量も小さめです。
ただ、容量あたりで見ると割高になりやすいという特徴があります。
小型機は価格を抑えた設計が中心で、断熱や冷却の作り込みに差が出やすいため。
「小さいから安い」と思って選ぶと、思ったほど下がらないことがあります。
「省エネ型製品情報サイト」の登録データ(2026年9月確認)を見ると、50L前後の1ドアモデルでも年間消費電力量が150kWh前後のものがあり、容量あたりで見るとファミリー向けの大型モデルより電力効率は下がりがちです(simplus「SP-50DSL-WH」50Lで146kWh/年、先述のパナソニック515Lモデルで272kWh/年)。
サブの冷蔵庫として1台追加する場合は、2台分の電気代がかかる点にも注意を。
メインを1台にまとめたほうが安くつくケースもあります。
10年以上前の冷蔵庫はどのくらい高い?
年式による差は、冷蔵庫の電気代でいちばん大きな要素です。
資源エネルギー庁のデータでは「10年前と比べて約15〜24%の省エネ」という水準です(2026年9月時点)。
ただし、差の大きさは容量帯や機種によってかなり変わります。
一般論の数字を当てはめるより、うちの1台の型番から実際の年間消費電力量を調べるほうが確実です。
冷蔵庫の電源を一時的に切るのは節電になる?
【ご注意】
日常の節電手段として、冷蔵庫の電源を切るのはおすすめしません。庫内の温度が上がると食品の品質に直結し、再び冷やし直すときに電力も使うため、狙ったほど得にはならないケースが多いです。
電源を切るのが選択肢になるのは、長期の不在で庫内を空にできる場合だけです。
その場合も、食品をすべて出し、霜取りと掃除をして、扉を開けた状態で保管するのが基本になります。
電気代が急に上がったら故障?
可能性はありますが、いきなり故障と決めつけなくて大丈夫です。
冷蔵庫の消費電力は、外気温や扉の開閉、設定温度、設置環境でも変わります。
請求額が上がった理由は、冷蔵庫だけでは特定できません。まず季節家電やお湯の使用量なども確認してみてください。
そのうえで冷蔵庫を疑う場合は、冷えの弱さや異音といったサインが手がかりになります。判断のしかたは「冷蔵庫の壊れかけのサイン」をご覧ください。
まとめ

冷蔵庫の電気代は、平均を眺めていても分かりません。
うちの1台の月額目安は、3つのステップで出せます。
- 銘板から型番を見つける(安全に届く範囲ならスマホのフラッシュも使う)
- 型番から年間消費電力量を調べる
- 電気料金の単価をかけて、12で割る
出てきた数字によって、次にやることは3つに分かれます。
- 目安の範囲内だった → 電気代だけを理由に急いで買い替える必要はありません。異常の兆候があれば取扱説明書やメーカー窓口で確認します
- 高いが、原因に心当たりがある → 放熱スペースと詰め方から手をつける
- 年式が古く、節電では届かない → 買い替えの回収年数を計算してみる
請求書を見て「何がこんなに使っているんだろう」と思ったあの瞬間に、答えを出すための数字。
一度出しておけば、来年も再来年も使えます。
買い替えを考える段階まで来たら、「冷蔵庫の寿命は何年?」で寿命の判断もあわせて確認してみてください。








